百物語 その2「天香久山」

日が沈み、空気が青くなる頃、役場からサイレンをが聞こえてくる。

そのサイレンを聞いたのか、母がうんざりした顔で家の冷房を止め、窓を開ける。近所の夕食の匂いが一斉に漂いはじめる。香久山の移民船出立センターに明かりが灯り、コンテナを積んだトラックがエンジンをかける。庭のトマトに水をやりながら、僕はその光景を眺める。一列に並んだ白いコンテナは、まるで洗濯物みたい。

あの列は未来へと繋がっている。こんな田舎より僕は月がいい。出立予定は3年後の夏。かぐや第25便。

問題は、それまでに初体験を済ます事が出来るかだ。月には風俗がないかも知れない。

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