百物語その13 「みなの川」

「『私は、どうしても、苦手な人とうまく付き合っていく事ができません。どうしたらいいのでしょうか?』こういう質問なんですが、先生」
「なるほど、対人関係の悩みは、尽きないものです。私も、この前キャバクラに行ったんじゃが、最初についた女が、これが好みじゃなくてなぁ……」
「あの……先生?」
「あー失礼。なんじゃったっけ?」
「苦手な人とうまく付き合えないという悩みです」
「あーそうじゃ。これはな、第一印象が重要なんじゃよ。大河の一滴というように、大きくて深い川の流れも、最初は小さな流れじゃ。わかるかな?」
「はぁ。それがどうかしたんですか?先生」
「おい、わしがいい事行った時には、『なるほどー』と言えと、打ち合わせしたじゃろうが」
「なるほどー」
「……とにかくじゃな、人間関係も同じじゃ。苦手という感情が大きく深くなってしまっては、それを変える事はむつかしい。じゃが、第一印象の段階でそれを変える事は、いともたやすいのじゃ」
「先生、具体的にはどうすればいいのでしょう」
「苦いという味覚は、防衛本能から来るんじゃ。苦い物は食べられない物が多い。つまり、自分に危害を加える可能性を回避しようとする本能が苦さなんじゃ。つまり、第一印象で苦手かも・・・と思った時には、相手が自分に危害を与えるのでなはいかと、体が察知した訳じゃ。ならば、そんな存在ではない事を、身体に納得させればよいんじゃ。」
「それには、どうすればいいんでしょうか?」
「簡単じゃ。人中でも眉間でも鳩尾でもいい、殴るんじゃ! 気絶させれば、危険ではないことは明白じゃ。苦手意識などぶっ飛ぶ事、請け合いじゃ」
「あのー先生?」
「なんじゃあ。なんか文句でもあるんかい。実践してみい。間違いじゃないって……うわ、ちょっと、やめ……うごっわ!」
「ホント。正拳突きひとつで、先生への苦手意識が無くなりました!」
「ううう……」
「皆さん参考になりましたでしょうか? では来週の人生相談まで、さようなら」
「うう、口の中切れてもうたがな」
「先生?」
「ひ、ひぃい! さーせん! さ、さようなら」

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