百人一首物語 その18『夢の通い路』

「では、あなたはずーっと寝ていなければなりませんが、よろしいでしょうか?」
呪術師はそう言った。
女は、露骨に怪訝な顔をしたが、呪術師は意にも介せず一向に説明しようとはしなかった。女はたまらず訊いた。
「どういう事ですか?私は、夢でもいいから、あの人に逢いたいと言ったのです、どうしてずっと寝ていいないと行けないんですか?」
呪術師は言った。
「やれやれ。いいですか? あなたは、その人に直接逢う事も、あらゆる連絡を取る手段も禁じられている。これは裁判所の命令で、絶対だ。あなたはせめて夢の中だけでもいいから、あの人に逢いたいと言う。だから、私はその夢を叶えてあげようと言うのです」
「何故、私はずーっと寝ていなければならないのですか」
「馬鹿だな」呪術師は、あきれ果てた表情で言った。「その人がいつ寝るか判らないんだから、あなたは常に寝てるより仕方ないでしょう」
なるほど、と女は納得して、呪術師に大金を払った。
呪術師は、くれぐれも家に帰ってから飲むように、と告げてから、青酸カリを女に渡した。
※その18『住の江の岸に寄る波ゆるさへや 夢の通い路人目よくらむ』
打ち寄せる波みたいにいつでも逢いたいけど、人目をはばかって夢の中でもあってくれないなんて・・・とかそういう意味。嫌われてるだけだよね。
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