百人一首物語その30 『有明』

月の光は人を狂わせるというけれど、もしそれが本当なら、きっと私も月の光に当てられたという事なのだろう。
外は少しづつ明るくなってきていた。外の空気を取り入れたくて、少し開けたカーテンの隙間から頼りなげに浮かぶ月が見える。遠くから、電車の音が聞こえた気がした。
朝が来ていた。
アイツとスカイプで喧嘩して迎えた朝も、ちょうど、こんな感じだった。
あれは、もう、いつの事なのか、正確には思い出せないくらいなのに、その時の感情だけは、はっきり覚えている。それは、心に染みとなって残っている。
私は時計をちらと見てから、タバコの火を消すと、パソコンの前に座り直した。
そろそろ時間だ。
twitterのページを更新する。ゆるやかなタイムライン。
それが堰を切ったように、流れ出す。
何度更新しても、新しいツイートが流れ込んでくる。
全く同じ内容のポストが延々と続く。
私は、何度も更新ボタンを押した。
そして、何度目かの更新を押した辺りで、波が引くように、新しいツイートはなくなっていった。
後に残されたのは静けさと、虚しさだけ。
やっぱ、やめときゃよかった。
「なるほど4時じゃねーの」だけ、200もフォローするだなんて。



「有明の つれなく見えし 別れより 暁ばかり 憂きものはなし」
明け方に月の見える時に、こっぴどく女に振られてからというもの、明け方は鬱だ死のう。

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