百人一首物語 その37 「白露」

朝霧が、次第に白く、光を帯びはじめる。草原に、朝日が差し込んでくる。草原に溜まった朝霧が、その光の太い束をどんどん切分けて、小さな粒にして、辺りを埋め尽くす。闇が包んでいた世界が、今度は白い光で包まれる。
私はゆっくりと頭を起こす。
霧が、昇り往く太陽に追い立てられるように、消え失せはじめると、白かった景色は、本来の色彩を取り戻していく。
体を小刻みに動かし、リズムを取りながら、私は歩きはじめる。
世界が色彩を取り戻していくように、音が、匂いが、食欲が、この草原に戻ってくる。
少し残っている朝霧に、体をとられる感覚。それに抗い、足を動かすと、葉の上の大きな水滴が転がる。そのうちの一つは、世界を集結し映し出しながら、地面へ落ちた。
私は、花の匂いを確かめながら、一番目立つ花を見つけ出した。自分の羽根の色とその場所の色が、あっている事を確かめ、近くの若葉の裏に待機した。脚でリズムをとりながら、風に揺られる草に見せかけた。
さぁ、花の香りに釣られ、どうか蝶々たちよ、集まってきておくれ。私の自慢のカマで、痛みもなく解体してあげる。
私の、立派な卵にしてあげよう。
来年の春には、私の獲物の血肉が、私の子カマキリとなって、この草原を闊歩するのだ。


「白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける」
なんか、露が風に吹かれて、紐を通してない、真珠の玉みたいに散らばって、まぁきれい。

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