百人一首物語その42 「松山」

件名: 恋人がオオアリクイに殺されて1年が過ぎました。
差出人: 須藤久美子(26歳)


いきなり不躾なメールをお許しください。
私、須藤久美子と申します。26歳です。
少しだけ、私の話を聞いてください。
私には、将来を誓い合った相手がいます。とても誠実な人で、たとえ天保山が地球温暖化で海に沈むような事があろうとも、一緒にいようねって固く約束していました。
でも、私たちは離れ離れになりました。
彼には夢がありました。いつか、国際ボランティアとして、シンガポールの恵まれない人たちのために身を粉にして働きたいと、常々言っていました。
私は、彼の背中を押しました。
3年待ってあげるといいました。
そして、それから6年経ちました。
彼は決して、不誠実な人ではありません。帰れない理由があるのです。でも、その理由は彼の親族にだけ語られました。なにか国際的な陰謀に巻き込まれたとだけ、彼の父親から聞かされました。
私は今も待っています。
いつまでも待ち続けるつもりです。
でも、どうしても寂しい夜があるのです。
どうか、このメールを読んだのなら、ご連絡頂けませんでしょうか。
私の体を慰めて欲しいのです。体の空洞を、あなたに埋めて欲しいのです。
些少ですが、お礼も用意してあります。
よろしくお願いいたします。
ご連絡お待ちしております。



「契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波越さじとは」
袖が涙でグショグショになって、松山が波をかぶるまで、一緒にいようって、約束しました。(それなのに、ダーリン、浮気したっちゃねー!!)

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