百人一首物語 その54 「忘れじの行末」

昨夜、夢を見た。
忘れられない結末だった。
今日開催の競輪の最終レースの夢だった。1着が3番と2着5番。それ以外は全部、落車するのだ。結果は大荒れ。3万を超える万車券だった。夢の中で僕が持っている車券は5−3の裏目。僕は膝から崩れ落ち、そこで夢から覚めた。
僕は、その足で競輪場へ向かった。そして、最終レースの3−5に全財産をぶち込んだ。
最終レース直前に、借金取りに見つかった。
僕は夢の話をした。「その夢、当たられば天国、外れてたら命ないぞ」と言って、借金取りも車券を買った。
遂に、最終レースが始まった。
夢は……正夢だった。
僕は、がっくりと膝から崩れ落ちた。
「2台を残し全員落車。結果は5−3の万車券か。夢の通りだな」
そういうと、借金取りはニヤリと笑うと、僕の肩を叩いて去って行った。
「おい! 僕の事殺せよ! いっそ殺せよ!」
借金取りは、手にもった車券をヒラヒラさせて、言った。
「半分は、お前にやるよ。借金に当てとく。残りは働いて返しやがれ」
借金取りの買った車券は「5−3」だった。
「いいか。金のないヤツほど、裏目を引くんだよ」
そう言い残して、借金取りは去って行った。



「忘れじの 行末までは かたければ 今日を限りの 命ともがな」
将来まで私の事忘れないっていうのは、難しいでしょうから、今日、このまま死にましょうよ。

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