百人一首物語 その55 「名こそ」

「見ろ、ガンダムじゃあ。このガンダムが日本を守ってくれるんじゃぞ。この雄姿、よう、見ておれ」
濃い霧の中、爺ちゃが指さす先には強襲艦が黒い塊となって海の上を進んでいた。甲板の上にはガンダムが、まるで閲兵を待つ兵士のように、静かに並んでいた。僕には、そのもの言わぬ鉄の塊が、この国を守る神像のようにすら思えた。
「さぁ、帰るぞ。今日は漁は終わりじゃ。軍艦が通った跡は、魚が寄りつかん」
爺ちゃは、そう言うと、舵を漁港へ向けた。
「爺ちゃ、なんでああいう大きなロボットの事をガンダムって言うだ?」
「ああ?」爺ちゃは、舵をとりながら、僕を振り返った。「知らん。ただ、昔から、ああいう大きなロボットはガンダムと言う事になっちょる」
「昔からか?」
「昔からじゃ。理由があるンかも知れんが、今は判らん。言葉とは、そういうもんじゃ」


「滝の音は 絶えて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ」

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