百人一首物語その59 「夜更け」

睡魔の尻尾はそれなりに長いと云う。
しかし、掴み損ねると、次の睡魔が来るまでに時間がかかる。
そういうものだ。
習慣とは恐ろしいもので、こんな時でも、いつも寝ていた時間になると、睡魔はやって来る。しかし、いつもより大分小さいようだ。
夜の間に、また来るのではないか? 
そんな考えが、頭を過ると、もう睡魔はどこかへと行ってしまう。
夜も更けてきた。
起きている人の気配が、体育館のそこかしこからする。
意を決して、起き上がり、校庭の焚き火へと向かう。
火を囲む輪に入れてもらう。
あたたかいコーヒーを貰い、礼を言う。
こうして揺れる火を見ていると落ち着く。
地震の後、我が家を焼き尽くした火と、同じものだとしても。
この避難所の火は、あの日の、火を絶やさず残している。
空の月は、だいぶ、傾いている。



「やすらはで 寝なましものを 小夜更けて かたぶくまでの 月を見しかな」
(彼の事を)考えてたら寝れなくなって、月が傾いてるの見た。

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