百人一首物語その60 「天橋立」

大江山まで来た。
都市部を離れ、少し前から携帯端末が使えなくなってるけど、まず間違いはないだろう。
蝉の声が響き渡る。
汗が額をつたう。
打ち捨てられた道を、人々は一心不乱に歩いて行く。目的地は皆同じ。
みんな、この星を離れ、宇宙へ逃げ出したいのだ。
だから。
招集メールがなくとも、一縷の望みをかけて、移民船の発射場へ足を運ぶ。日常生活の維持も困難な社会では、メールが届かない事など、今や日常茶飯事だ。
山の頂上からでも、まだ「天の橋立」は見えない。空へと続く白い超電磁線路は、まだ見えない。



「大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立」

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