百人一首物語その66 「山桜」

「やっと帰ったな」
「帰った」
「また愚痴だったな」
「失恋したようだな」
「去年も失恋してなかったか」
「してた」
「相手は……」
「違う相手だった」
「人間は惚れっぽいな」
「惚れっぽい」
「しかし、なぜ、我々に愚痴るかね」
「花、見てないよな」
「こんなにがんばって、奇麗に咲かせたというのにな」
「いうのにな」
「やあ、今年も奇麗に咲き申した……そんだけ」
「そんだけだったな」
「あとは愚痴」
「愚痴」
「我々が動けないのを良い事に」
「良い事に」
「暗い気分が伝染して、つぼみが2つ落ちてしまったよ」
「こっちは3つだ」
「勘弁して欲しいなぁ」
「まったくだ」
「来年も来るかなぁ」
「来るんじゃね?」
『また違う彼女にふられて』
「人間の事は人間同士で語り合って解決して欲しいよ」
「まったくだ。山桜には山桜の問題があるんだからね」
「まったくだ」



「もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし」
山桜よ、一緒に悲しいと思ってくれよ。他に、この思いを知るものはいないのだから。

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