百人一首物語その75 「秋」

彼女とはtwitterで知り合いました。
共通の趣味が多かったので、フォローし始めたのですが、そのうち彼女がフォローを返してくれて、次第に「おはよ」や「おやすみ」などの挨拶を交わすようになりました。
そして、少しずつメールを交わす内に、次第に彼女の事が判ってきました。彼女にはどうも、今付き合っている彼がいるらしい事。その彼は少し、独占欲が強い事。そして、彼女は別れたがっているらしい事がわかってきました。僕は、彼女と会話を交わす中で、少しでも力になれればいいなと思っていました。そんな関係が3ヶ月ほど続きました。
春になりました。偶然、彼女と趣味のイベントでご一緒する事が判りました。そこは彼女にとっては不慣れな場所だったので、僕はエスコート役を引き受けました。
逢ってみると、彼女は印象通りの人でした。色々と深い悩みまで語り合ってきたからでしょうか、僕と彼女はすぐに昔からの友達のように打ち解けられましたし、彼女も僕の事を信頼してくれました。それは、とても楽しい時間でした。帰りの電車のホームで、彼女は泣きました。泣きながら、「あなたが彼だったらいいのに……」とつぶやきました。僕は彼女の手を握りました。僕にはそれが精いっぱいでした。俯いている彼女の頬に、涙がいっぱい溜まりました。彼女は涙を拭うと、顔を上げ、僕の顔を見て言いました。
「きっと、また来る。その時には、私をあなたの彼女にして」
僕は、強く彼女の手を握り返しました。
あれから夏が過ぎ、もう、秋になりました。
彼女は、まだ来てくれません。



「契りおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり」
約束してくれたのに、今年の秋も駄目とか、かなしー。

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