百人一首物語その85「閨」

君は、未だ見ぬ彼女との性行為を、心の裡に思い描いた事はないだろうか。

彼女をベッドの脇に立たせ、軽く唇に触れるようなキスを3回、その後に深い大人のキスを1回。そして、お互いの目を見つめ合ったあと、軽く頬に、そして白く細い首筋にキスを……と妄想した事はないだろうか。

そして、妄想は加速する。

彼女の艶めかしい肢体を余さず脳裏に焼き付ける為、その恥ずかしい姿態を鏡に映し彼女の羞恥心を煽る為、君は、その野獣のような行為を、全て明るい部屋で行うだろう。そして、その欲求は果てしなく高まり、窓を開け放し、他人の視線を意識しながら妄想の中の行為を成す事だろう。そして、思うのだ。みんな、そうに違いないと。だって、君の持っているエッチなビデオやマンガは、大抵がそうじゃないか!

かくして、明けやらぬ夜を、自転車で疾駆し、ラブホテル街を目指すのである。君の妄想の中の常識では、ラブホテルの窓は全て開け放たれているはずである。

そして、実際には、ぴしりと閉ざされた窓を見上げ、君は現実を知る事になる。世の中に横たわる、冷たい現実を。

「よもすがら 物思ふころは 明けやらぬ 閨のひまさへ つれなかりけり」

いとしい人の事を思うとなかなか眠れないの。朝になれば、この切なさも消えるのだろうけど、夜はなかなか明けないの。朝日が差し込んでこない寝室の隙間って、なんて私に冷たいんでしょう。もう!

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